負の世界遺産

「人類(じんるい)が共有(きょうゆう)すべき普遍的(ふへんてき)な価値(かち)をもつもの」として、世界(せかい)遺産(いさん)リストに登録(とうろく)された遺跡(いせき)や景観(けいかん)、および自然(しぜん)を「世界(せかい)遺産(いさん)」といいます。文化(ぶんか)遺産(いさん)にしろ、自然(しぜん)遺産(いさん)にしろ、「すぐれた普遍的(ふへんてき)価値(かち)をもつ」ことが登録(とうろく)の条件(じょうけん)です。一方(いっぽう)、戦争(せんそう)や人類(じんるい)差別(さべつ)など、人類(じんるい)が犯し(おかし)た罪(つみ)を証明(しょうめい)するものも、また逆(ぎゃく)の意味(いみ)で私たち(わたしたち)に忘れ(わすれ)てはならない教訓(きょうくん)を伝え(つたえ)ています。これらの物件(ぶっけん)は、「負(ふ)の世界(せかい)遺産(いさん)」として呼ばれ(よばれ)、世界(せかい)遺産(いさん)に登録(とうろく)されています。負(ふ)の世界(せかい)遺産(いさん)の例(れい)●アウシュヴィッツ=ビルカナウ強制(きょうせい)収容所(しゅうようじょ)・・・ナチス・ドイツがユダヤ人(ゆだやじん)を虐殺(ぎゃくさつ)した収容所(しゅうようじょ)。●トリニダード(キューバ)・・・ロス・インヘニオス渓谷(けいこく)と共に(ともに)1988年(ねん)に世界(せかい)文化(ぶんか)遺産(いさん)に登録(とうろく)。●ロベン島(ろべんとう)(南アフリカ共和国(みなみあふりかきょうわこく))・・・人種(じんしゅ)隔離(かくり)政策(せいさく)に反対(はんたい)された人たち(ひとたち)が収容(しゅうよう)されました。マンデラ大統領(だいとうりょう)が幽閉(ゆうへい)された島(しま)。●ゴレ島(じま)(セネガル)・・・奴隷(どれい)貿易(ぼうえき)の拠点(きょてん)だった島(しま)。●バーミヤン遺跡(いせき)・・・タリバン政権(せいけん)によって破壊(はかい)された遺跡(いせき)。●原爆(げんばく)ドーム(日本(にっぽん))・・・核兵器(かくへいき)の悲惨(ひさん)さを伝える(つたえる)建物(たてもの)。広島(ひろしま)原爆(げんばく)でかろうじて残っ(のこっ)た、元(もと)広島(ひろしま)県産(けんさん)業(ぎょう)奨励(しょうれい)館(かん)。人類(じんるい)が犯し(おかし)た悲惨(ひさん)な出来事(できごと)を人びと(ひとびと)の記憶(きおく)にとどめ、二度(にど)とその過ち(あやまち)を繰り(くり)化さ(かさ)ないようにするために登録(とうろく)されたのが、負(ふ)の世界(せかい)遺産(いさん)です。ただし、これらの他にも(ほかにも)、鉱山(こうざん)や工場(こうじょう)の遺構(いこう)など、負の遺産(ふのいさん)と呼べ(よべ)るものは多数(たすう)存在(そんざい)し、その定義(ていぎ)ははっきりしていません。しかし、この日本(にっぽん)にも原爆(げんばく)ドームが存在(そんざい)しています。世界(せかい)遺産(いさん)をめぐる活動(かつどう)の中心(ちゅうしん)である、ユネスコ憲章(けんしょう)の前文(ぜんぶん)には、「戦争(せんそう)は人(ひと)の心の中(こころのなか)で生まれる(うまれる)ものであるから、人(ひと)の心の中(こころのなか)に平和(へいわ)のとりでを築か(きずか)なければならない」とあります。教育(きょういく)や文化(ぶんか)の振興(しんこう)を通じ(つうじ)て、戦争(せんそう)の悲劇(ひげき)を繰り返さ(くりかえさ)ない、というユネスコ設立(せつりつ)の理念(りねん)を考える(かんがえる)とき、日本(にっぽん)の原爆(げんばく)ドームは、不燃(ふねん)的(てき)な負(ふ)の価値(かち)を有(ゆう)するものであることは確か(たしか)でしょう。

世界遺産

「人類が共有すべき普遍的な価値をもつもの」として、世界遺産リストに登録された遺跡や景観、および自然を「世界遺産」といいます。文化遺産にしろ、自然遺産にしろ、「すぐれた普遍的価値をもつ」ことが登録の条件です。一方、戦争や人類差別など、人類が犯した罪を証明するものも、また逆の意味で私たちに忘れてはならない教訓を伝えています。これらの物件は、「負の世界遺産」として呼ばれ、世界遺産に登録されています。

世界遺産